核磁気緩和に関する式

核スピン緩和

核スピンに対してラジオ波を照射してから元の熱平衡状態へと戻るまでの過程を緩和過程という。核スピンの磁化は静磁場に平行な縦磁化成分と静磁場に垂直な横磁化成分に分けられる。それぞれ異なる速度で緩和することが知られており、その緩和時間は縦緩和時間\(T_1\)と横緩和時間 \(T_2\) として知られている。

核磁気緩和の理論はNMRの黎明期に深く研究された。まず、Blochが1946年に、次に示すBloch方程式をNMRの現象論から導出した。

$$ \frac{d\vec{M}}{dt}=\gamma \vec{M}\times \vec{B_0}-\frac{M_z-M_{\rm{th}}}{T_1}\vec{z}-\frac{M_x\vec{x}+M_y\vec{y}}{T_2} $$

この式は、磁気モーメントの時間変化を表すものであった。そのあと、Blouembergen、Percell、Poundの3人がBPPの論文と呼ばれる、水分子の緩和現象を双極子相互作用の相関関数を使って実験結果を説明した。さらに、WangsnessとBloch、Redfield、Abragamらによって、この理論はさらに一般化された。二次の摂動やさまざまな近似を使って、密度行列の時間発展を表すリウヴィル方程式から次の緩和のマスター方程式を導出まで行われた。

$$ \frac{d\rho(t)}{dt}=\frac{i}{\hbar}[\rho(t),H_0+ H_1(t)] \rightarrow \frac{d\rho(t)}{dt}=\frac{i}{\hbar}[\rho(t),H_0]+\hat{\Gamma}\left\{\rho(t)-\rho_{\rm{th}}\right\}$$

\(\hat{\Gamma}\)は緩和の超演算子、\(H_0\)はハミルトニアンのうち時間依存しない成分(ゼーマン相互作用やJ結合など)を、\(H_1(t)\)は時間変化するハミルトニアン(双極子相互作用や化学シフト異方性など)を表す。

また、異なる2つの核スピン(スピン\(I\)とスピン\(S\)とする)間の緩和を表す連立方程式として、1948年にSolomon方程式も示された。

$$ \begin{eqnarray}
\frac{d M_z^I(t)}{dt}&=&-\frac{1}{T_1^I}(M_z^I (t) -M_{z,\rm{th}}^I) -\frac{1}{T_1^{IS}}(M_z^S (t) -M_{z,\rm{th}}^S) \\
\frac{d M_z^S(t)}{dt}&=&-\frac{1}{T_1^I}(M_z^S(t) -M_{z,\rm{th}}^S) -\frac{1}{T_1^{IS}}(M_z^I (t) -M_{z,\rm{th}}^I)
\end{eqnarray}
$$

この式は核オーバーハウザー効果(Nuclear Overhauser Effect; NOE)を説明するのに用いられる。

ここでは、核スピン緩和が関わる方程式をまとめてみた。基本的には1960年代には核スピン緩和の理論は完成しており、これ以降の大きな進展はあまりないようだ。

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